パラドックス?

 パラドックスといってもここにあるやつは本物ではない。ちょっとした「タネ」に気がつけば,な〜んだ,というような,他愛のない手品みたいなものです。ただ,そのタネを見つけるまでは結構楽しんでもらえるのでは? 以下にあるのは,いずれもナカムラが過去に思いついて,まじめに悩んだもの。(もちろん,だからとい言ってナカムラのオリジナルという意味ではない。ナカムラ以外にも同じことを思いついた人も多くいるはずだ。)したがって,多分,正しいであろうと思う解決も用意してあるが,ここに書いたら面白くないので,みなさん考えてみてください。解答が欲しい場合はメールをいただければ,お送りします。また,これ以外にあんまり有名ではないが面白いパラドックスをご存じの方はお教えいただければ幸いです。今のところ,メニューは以下の三つ:

  日付変更線:一般向
 ランダムな点分布:理工学関係者向
 電磁気学:マックスウェル方程式を知っている人

となってます。プラズマ物理関係のがあといくつかあるのですが,まだ準備中。
   附記:できました。ここをご覧下さい。

日付変更線
 日付変更線というのがある。太平洋の真ん中あたりにあるやつで,これを東から西に越えると日付が一日すすみ,逆に越えると一日もどるというやつ。たとえば1月1日の夕方に日本から飛行機でロスアンジェルスに向かってたつと朝に着くのだが,日付変更線をまたぐので1月1日の朝になるのである。そして,その日のうちにディズニーランドでミッキーマウスとたわむれることができる。成田に行く前に千葉のディズニーランドに寄ってくると,同じ1月1日の昼間に日米両国のミッキーマウスと遊ぶことになる。なんか一日得したような気になるが,逆に日本に帰ってくるときに逆方向に日付変更線をまたぐので,一日損することになる。
 しかし,問題は日本にもどらずに,さらに東へと旅した場合である。地球は丸いので,東へ東へと進むと地球を一周して日本にもどってくる。で,得した一日はまるもうけになるのだろうか? いや,日本で止まらずに,さらに東に行けばまた日付変更線をまたぐので,さらに日付がもどる。もっと進めてめちゃめちゃ速い飛行機にのって地球を東向きに何周もしたらどんどん日付が前にもどってタイムマシンになるのではなかろうか?

 これって,結構海外旅行していても知らない人がいるのですよね。で,知らないと結構悩む。ナカムラも少年の頃(そのころは海外旅行経験はないが),2週間くらい悩みました。

ランダムな点分布
 コンピューターを使って,直交x-y平面上の0 < x < 1,-1 < y < 1の 長方形のなかに,ランダムにN個の点をばらまくことを考える。x座標 は0から1までの乱数でつくる。y座標の設定について次のふたつの方法 を考えよう。

 1)まず,0から1までの乱数をN/2個つくり,これでyが正の領域をう める。つぎに-1から0までの乱数をN/2個つくり,これでyが負の領域を うめる。
2)-0.5から0.5までの乱数をN個つくり,これで-0.5 < y < 0.5の領 域をうめる。つぎにすべてのy座標を2倍にして領域を-1 < y < 1に広 げる。

Nが十分に大きいとき,上の二つの方法は統計的に同じだろうか?

答え=違う。 ある点に注目し,それにもっとも近い点までのx座標の差の絶対値をδx, 同様にy座標の差の絶対値をδyとする。そしてすべての点についての, これらの値の平均を<δx>, <δy>とする。方法(1)では対称性より明 らかに<δx> = <δy>である。方法(2)では2倍にひろげる前に <δx> = <δy>だったのだから,ひろげたあとは2<δx> = <δy>と なり,方法(1)とはちがう結果になる。

答え=同じ。 方法(2)は実は-1から1までの乱数でy座標を設定したのと同等である。 Nが十分大きいとき,これらの乱数のうち-1から0までの値になるのはN/2個, 0から1もN/2個なので,実は(1)と同じ操作をしていることになる。 

 これは他にみたことないので,ひょっとしたらナカムラのオリジナルかも。でも,ひょっとしたらモンテカルロシミュレーションなんかをやっているひとの間では常識なのかも・・・。

電磁気学
 時間変化をする無限一様の磁場を考えよう。時間変化の仕方はどうでもいいが,簡単のために一定の割合で強くなってるとする。たとえばkを定数としてB = ktで与えられるとする。下図のようにこの磁場に垂直な平面内の円を考える。マックスウェルの方程式からrot E = -dB/dt = -k なので,この円周上でEを積分するとストークスの定理より-kに円の面積をかけたものになる。つまりゼロでないある値をとる。円周上を一周積分するとゼロでない値をとるということは,この円周上でEがゼロでない点がすくなくとも一点はあるはずである。では,この点で電場Eはどちらを向いているのであろうか? 無限一様という条件から,対称性を考えると,電場がどこか特定の方向を向いているということはありえないはずである。

 実はこのパラドックスはいろいろなバージョンがあって,結構知られているのかも知れない。ナカムラは学部学生のとき,電磁気学の演習でこれに気がついてかなり悩みました。他にも同じ経験があるひとは多いはず。

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2001/01/10