Infomation, please.

 おひさしぶりです(*)。学会だとか学内の用だとかいろいろあって,更新が三週間近く滞っておりました。以前に「だいたい一週間にひとつ書きます」とか書いていた憶えがあるが,最近は月に二つになったようだ。しばらく,このくらいのペースをキープしたいとは思っていますが,ナマケモノのナカムラのことなので,だんだんのびるかもしれない。ちなみに,ある調査によると,いろいろなウェブサイト上の,この手の素人文章の更新頻度を時間に対してプロットしてみると,その分布はポアソン過程でよく近似できるそうだ・・・というのは,またまたナカムラがいまでっちあげたウソです。もうだまされないよね。

*いつも書いているけど,前のページから連続して読んでいる人もいるわけで,そういう方はページ下端の日付から状況を御高察ください。

 それはともかく,上にも書いたように,11月の22日から三連休の間,ナカムラは学会で福岡にいた。ちなみにナカムラの入っている学会は,「地球電磁気・地球惑星圏学会」,英語にすると頭文字はSGEPSSなのだが,会員のほとんどが正確なフルネームを言えない (もちろんナカムラも言えない) という長い名前の学会であるが,まあ,そんなことはどうでもいい。話は福岡である。ナカムラの住んでいる福井は,蕎麦は非常に旨いがラーメン不毛の地で,しかも,九州系のラーメン屋がほとんどなく,豚骨ラーメンファンのナカムラは福岡に着いてから,ここぞとばかりにラーメンを食いまくったのであるが,まあ,それも実はどうでもよくて (と言っていると全体がどうでもいい話だが),話は福岡に行く方法である。
 福井からもっとも近い空港は石川県の小松空港で,ここから福岡までの直行便があるので,それに乗れば速い。しかし,小松 - 福岡間は弱小路線なので航空料金が高く,伊丹(大阪)空港を使った場合の倍以上する。ちょっと調べてみるとJRで大阪まで行ってから飛行機に乗った方が時間はかかるが,料金はほぼ同じである。ということは,伊丹空港まわりでいくと,大阪でおりて朝日屋書店で本を見たり,Tower RecordでCDを探したりとできるので (なにせ地方都市に住んでいるとこういうのに飢えるのです),時間に余裕があれば,そっちの方が楽しいではないか。

 ということで,ナカムラは伊丹空港から福岡に向かったわけである。伊丹空港についてから,まず,航空会社のカウンターで搭乗手続きをする。この搭乗手続きの時,比較的すいていれば,カウンターのおねえさんが「窓側の席がよろしいでしょうか? 通路側にいたしますか?」と尋ねてくれる。ここで毎回,ナカムラは「どちらでもいいけれど,キミみたいな素敵な女性の隣をお願いするよ。」(*)というシブいアメリカンジョークをカマしたい衝動にかられるわけだが,シャイな性格なので,いつも口にすることができずに「あ,あの,どっちでもいいです。できれば機内食が早く食えるところがいいかな」などと,いつもながらのマヌケな対応をするわけである。しかし,またしても,そんなことはどうでもいいことだ。
 今回は飛行距離が短く,機内食もでないので「どっちでもいいです」だけですまして,さて,30分ほど時間があまった,なにをしようかなあ,ということで空港ビルの案内パンフレットをつらつらと眺める。パンフレットには,空港内にある店舗が「売店」「レストラン」などと項目別にならんでいる。「空港専門大店」なんて売店があるが,空港を専門に売っているのであろうか,なるほど,それなら「大店」にちがいない,などというくされジョークを思いつくが,幸か不幸か(たぶん幸であろう)ひとりなのでそれを言う相手もいない。

*こういうのって「セクシャルハラスメント」だと思う人もいるのだろうか? ナカムラはそうではないと信じているのであるが,もし,「こんなこと言うオヤジって最低!」という方がいたら教えてください。

 そうするうちに,ナカムラの目がひとつの店の上で止まった。「売店」のカテゴリに入っているのだが,その名前が“Infomartion”。うーん,初期の大仏文書で「すてきなコメディアンと無料ピザサービス自動車学校」という,自動車学校の名前そのものが広告になっているファンキーな自動車学校を紹介したが,これはその上をいくのではないだろうか? つまり,搭乗口がどこかわからないおっさんなどが,パンフレットや案内板を見て「あ,ここに“Infomation”ちゅうのがある,ここできいたろか(伊丹空港なので大阪弁である)」と思って来てみたら,なんとそこは売店,でも,とりあえず,そこのおねえさんに尋ねると搭乗口は教えてくれる,で,そのついでに「そうや,たばこ買うのわすれとった。おねえさん,セブンスターひとつくれへんか」ということになって,売り上げに貢献するのである。なんと賢い商売,さすがはナニワの商人。
 これはおもろいんちゃうか,というので,早速その売店“Infomation”の前まで行ってみたが,どこから見ても普通の売店である。今から思うと,そこでなにか買って“Infomation”と売店の名前が入った紙袋かなにかをもらってくれば話のタネになったのだろうが(*),そのときはそこまで考えがまわらなかった。そのとき,ナカムラが考えたのは,ひょっとしたら,これは伊丹空港のオフィシャルな案内所で,でも,そこはシマツ人の大阪人,「案内所っちゅうだけでねーちゃんをひとり雇って,あそばしとくのはもったいないで。暇なときは内職でもやらしたらええんちゃうか?」「ほんなら,どうせ場所もくうわけやし,売店にしてなんか売らしたらどうや?」「そりゃええ考えや,そないしよか」(**)ということで,売店と併設になったのでは,ということである。しかし,案内板でしらべてみると, (さすがに“Infomation”で案内所どこですか?とは訊けなかった) オフィシャルな案内所はちゃんと別にあるみたいだ。

*以前,ナカムラは同じようなことを考えて,カミオカンデで有名な岐阜県神岡の国道沿いにある「コンビニ・ニュートリノ」で買い物をしたことがあるが,残念ながらわたされた紙袋には店の名前は書いていなかった。(ところで「コンビニ・ニュートリノ」ってつぶれたって本当?)
**なんかナカムラって,ナニワのおっさんに対して偏見持ってるみたい。いちおう関西(神戸)出身なんだけどなあ。

 こういうのって,好きだなあ。売店の名前がチョウチンアンコウのチョウチンみたいになっていて,客をひきよせるというアイデアが良い。で,そのときに,全く逆の,「逆チョウチンアンコウ」とでもいうべき例としてふと思い出したのが,もう20年近く前に読んだいしいひさいちの漫画である。映画館の切符売り場のおっさん(おばはんだっけ,なんせ昔の記憶で不確か)が「今週封切りの映画には客がこんなあ,なぜだろう? 名作なのに」といって嘆いている,その映画館の看板を見ると映画のタイトルが「今週は館内改装につき休館いたします」というやつ。これは笑った。しかも,そのタイトルの上にちょっと小さく「不条理映画!」と書いてあるのも気に入った。「不条理」という単語が,なんとなくあのころの時代背景をよくあらわしていると思いません?
 いしいひさいちというと,今は大手新聞の四コマ漫画なんかに落ちぶれてしまったが,「がんばれタブチくん」の頃はダントツに面白かった。ナカムラは野球はきらいなのでタブチ君シリーズよりも,「バイトくん」とか「東淀川貧民共和国(これってタイトルじゃなかったっけ?)」などが好きで,いまでも憶えている四コマが結構あるのだが,そのなかで,こういうのがある。古本屋の店頭に一冊だけ本がある。非常に高価な値段がついている。学生 (トメトシ先輩です。知ってる?) がやってきて,一冊だけ置いてあるところをみると本当に貴重な本にちがいない,というので大枚をはたいて買っていくのだが,実はそれは古本屋の策略で,奥に大量の本のストックがあって一冊づつ出して売っていた,という話である。これはだけでは,まったく面白くもなんともない,駄作であろう。ところが,その本の表紙に書いてあるのが「ボッカ著:巨大眼球論」というのである。イイ味でしょう?

 思うに,いしい氏は多分,「ボッカ著:巨大眼球論」というのをはじめに思いついたのではなかろうか? そして,それをネタになにかを描きたかったのだが,適当なストーリーを思いつかなかったので,しょうがないから,自分でもつまらないとわかりつつも,上記のようにまとめたのではないかと思われる。こういうのって,漫画家とか小説家に結構あるみたいですね。以前に読んだある作家 (多分,筒井康隆だったと思う) の随筆に,かっこいいシーンを思いついて, そのシーンを書くためだけにストーリーを造って小説を書くことがあると書いてあった。また,ナカムラの友人が言っていたのだが,大藪春彦(だったかな? 記憶不確か多し)は殺し屋が銃を撃つシーンのディテイル(*)を書くために小説を書いているにちがいないそうだ。

*ボルトアクションなんたらかんたらの,どうたらのスイッチをなんたらして,なんたらスコープのどうたらこうたらを・・・という風に,実際に弾丸が発射されるまでに延々と細かい描写が続くそうである。ちなみにナカムラは読んだことがないので詳しいことはわからない。

 ということで,ナカムラが「巨大眼球論」のように小ネタだけ思いついたのだが,どこかで使おうと思っていて,どうも使い切れそうにないやつをみっつばかり:

  • これも大分昔の話だが,亀有派出所のシリーズに「平平平平」と書いて「ひらだいらへいぺい」と読む登場人物がでてきた。ナカムラはこれに対抗して「正正正正」(せいしょうただまさ) というのを考えついたのだが,こちらの方が名前として自然なひびきではないだろうか? 小学校のころに学級委員長の選挙で,「正」の字を書いて投票数を数えるのにも通じるものがあるし (←だからどうした?)。
  • ジャズの帝王,マイルス・デイビスのアルバムに「Miles Smiles」というのがあるが,ナカムラはこれに対抗して「マイルスは今,留守」という曲をつくった。ちなみにまきのさんがハマっている (01/11/21, 01/12/01参照)(*) POBoxの作者でもある増井さんの代表曲 (?) には「増井の住まいに睡魔がいます」というのがある。
  • 「アンパンマン」。このたった三音節の単語に日本語,ポルトガル語,英語の三カ国語が含まれており,しかもそれがすべて「-an」という韻を踏んでいるという事実は,あまり知られていない。同様の単語でちょっと知られているのに「ヒレカツ丼」(ヒレはfilletでフランス語) というのがあるが,こちらは三カ国語でも韻を踏んでいないし,音節も多いので,アンパンマンには負けると思うのだが。(関係ないがOno Yokoってローマ字で書くと「O」の字が他の字より多いって知ってました?)
オアトガヨロシイヨウデ・・・。

*このページピンが追加されていた。まきのさん,ありがとうございました。ところで増井さんの後輩ということは物研? 青野とか郡司とか知ってますか? (…と今回もほとんど私信を書いてしまうナカムラであった。)

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2001/12/03