Jan 03, 2005

Restitusionという単語を知らなかった。

  今,街でうわさの「田崎の跳ね返り論文」だが,ナカムラも勉強になると思って読んでみた。読み進めるうちに,ナカムラの口元にうかぶ不適な薄笑い。「ふっふっふっ,田崎も甘い男よのう。すぐに反例を思いついたぞ。死してシカバネひろうもの無し(意味不明)。」

  たとえば,バネをおし縮めて留め金で留めておく。時間が十分にたつとバネも留め金も温度が等しくなるから,平衡状態とみなせる。で,これを壁にぶつけると,留め金がはずれてバネの力で反発して,初速よりも大きな速度で跳ね返って来ることが有り得るではないか。論文ではなにやら難しげな計算をしておるが(もちろん理解していない),このような明白な反例があるということは,どこか間違えているに違いない。田崎論文のプリントアウトを置いて,ナカムラはひややかに言い放った。「おまえはもう死んでいる。」

  いや,しかしちょっとまてよ。冷静に考えてみれば,数理物理の奥義をきわめ,熱・統計力学界のケンシロウとも言われる(ってナカムラが今言ってるわけだが)田崎氏が,こんなにすぐに思いつくような反例に気づかぬはずはないのでは? と,もう一度よく考えてみると…ひでぶっ。やっぱりナカムラが間違っておりました。田崎さんごめんなさい。
  田崎論文ではボールの初期状態をカノニカル分布としている。これは可能なすべての状態にexp(-βH)の重みをかけているわけだが,この「すべての状態」の中には留め金が外れた状態も入っているわけで,そうするとこの状態はエネルギーが低いから,平均するとこっちのほうが主要になってしまう。つまり留め金がかかっている状態は熱平衡とはいえないわけだ。うーん,参った。死してシカバネ拾うもの無し。

  しかし,考えてみると何か釈然としないものがあるなあ。そうだとするとテニスボールのように,圧力の高い空気がゴムの皮の中に入っているものも熱平衡じゃないことになる。いや,さきほどの縮めたバネだって,未来永劫留め金が外れないことだって想定できるわけで,そうすると,エルゴード性がなりたたない(エルゴード性が統計力学の基礎になり得るかという問題はおくとして)というか,「可能なすべての状態」というのが一方からは到達不能な二つの集団に別れてしまうというか,しかも,それが留め金がはずれるかどうかという,マクロな偶然事象に左右されるというか,なにかそういうすわりの悪いことになる。
  よく考えれば,留め金が外れるかどうかもハミルトニアンにいれればいいんだとか,そもそも孤立系という理想化がどうのこうのとか言って納得できる気もするが,まあそういうもんなんすかね…などと考えつつ喫茶店でコーヒーをすする年の瀬の昼下がりであった。

Comments and Trackbacks

たわばっ お、おれの論文があああ

つうのは嘘で、そういう反例では死にません。
留め金についてはおっしゃるとおりだし、ゴムボールに空気をぱんぱんにいれたのでも大丈夫です。ちょこっと注にも書いたのですが、ゴムボールがやりたいときには、もともと内部自由度のとりうる状態空間を正しくボールができているところにかぎってしまえば、それでいい。あるいは、ボールから空気の分子が一個でも漏れたらエネルギー無限大という外道なポテンシャルをとると言ってもいいです。
ここは真面目に考えると(と、さも考え尽くしたように書くが、もちろん、今、これを読んでから考えたわけですが)一見ずるいようですが、でも実はずるくなくて、考えたい状況を適切に抽出する方法だといっていいと思います。だいたい、本当の本当に分子からできているものが平衡状態にあったら、おそらくボールじゃなくて、もっとぐちょおっとしたものになるでしょう。でも、そういうのを壁にぶつけて遊びたいのではない。幸いにも、ボールの形を保つ範囲の平衡状態というそれなりに現実的な初期条件について、定理が証明できた、というわけです。
それにつけても二穴氏へのボケのコメントが当然のごとく放置プレイなので寒さが身にしみる今日この頃です。「はじめてあったガキのころ、あいつはまだ一穴だった。今じゃ立派な二穴で、そろそろ三穴になってもおかしくない年になっちまった。」というのも考えたのですが、やめてよかったとつくづく思っています。

Posted by たざき at 2004/12/20 (Mon) 18:15:45

おおっ,なんとすばやい反応

さすがは統計力学界のケンシロウ。で,やっぱり「ボールの皮がやぶれる」というのを考えにいれない状況だとそういうことになるんですね。

ところで,今度は確信をもって指摘できる間違い。2ページ目の下から7行目「requirements fo」は「requirements for」だっ。

(二穴ギャグにはコメントしておきました。気づかずに失礼。)

Posted by 中村 at 2004/12/20 (Mon) 18:31:06

つくばでお目にかかりましょう

正直なところ田崎論文の真価は分からないです。勿論、証明はフォローしましたし、そんなものだろうと思いますが、結論は常識的だし、壁の自由度を扱っていないという人工的な設定にしていることにも不満があります。不等式で抑えているだけなので予言能力に乏しい点も不満です。

(熱力学極限を取らない)反例っぽいものとしてはカノニカル分布で高温にしておいて(熱速度より)低速で衝突させるとかなり高い確率ではねかえり係数は1を越えます。平均を取ると1を越えなかったかもしれませんし、現実には融けてしまう様な高温、或いは自由度が少ないという意味で、量子効果を含めてモデルが複雑化するべきなので、現実離れした設定ということは重々承知していますが。

ところで散逸なしの中自由度系(10^3オーダー)でも何とか平衡化させたり、粘性効果を含んだ形の衝突を再現できるようになりました。こういうモデルをいろいろいじるともうちょっと理解が進むかもしれません。

Posted by 早川 at 2004/12/21 (Tue) 09:51:24

今度は統計力学界のラオウからコメントが!

御無沙汰してます。つくばは楽しみにしております。

この場合の高温というのは
粒子の熱速度〜ボールのバルク速度 * 粒子数
くらいにならないといけない気がするのですが,「熱力学的極限をとらない」ということはそういう意味なのでしょうか?

ときに,両巨頭に質問なのですが,この問題って,ミクロは気にしない熱力学では証明されているのですか? 田崎論文では衝突後の緩和は仮定していないと思いますが,十分時間がたてば熱平衡にいくとすれば,熱力学が使えそうな気がするのですが。

Posted by 中村 at 2004/12/21 (Tue) 10:27:36

あべしっ

ではなく、

おお早川さん。こんなところで。
1 まず、あの論文の価値がわからないというのは、ぼくも同意見です。ただし、結論が常識的なのはしょうがないでしょう。マクロに常識だったことをミクロから導出することがようやくできたわけだから。不等式になっていて予言力がないのも、普遍的な結論を出す話をするときは仕方のないことです。もっとモデルを個別化して散逸の話とかをするときには、もっと具体的でシャープな結果をださないと意味がないと思っています。(次の課題です。)
2 熱測度より低速の衝突は、もちろん、定理でカバーされています。跳ね返り後の速度の確率分布を抑えていますから。この定理のおもしろいところは、むしろ、低自由度系とかやたら低速の衝突とか、跳ね返り係数がときとして1を越えてもいいような系の場合にも、ちゃんと使えるところだと思います。ときとして跳ね返り係数は1をこえますが、それは、どんな場合でも(初期状態が平衡なら)熱速度で決まるファクターを越えることはない。(低自由度というと、じゃあ量子系はどうした、ということになってしまう。これは(問題設定からして)かなり難しいが、考えてはいます。)

中村さん、
もちろん、熱力学第二法則を仮定すれば、(この論文のような状況での)跳ね返り係数は決して1を超えてはいけません。第二種永久機関ができるから。そういう意味で、この定理は、第二法則のミクロからの導出になっているわけです。

Posted by たざき at 2004/12/21 (Tue) 11:46:03

おっと、忘れてた

早川さん、
散逸なしの系があつかえるようになったのは、すごいですね。学会でも国中さんの講演のとき、そのあたりを議論しました。
衝突中に散逸がおきて、それが本質的に衝突の様子を決める、という状況(現実の系はそうなっているものが多いと考え定員ですよね?)は、猛烈にむずかしいですね。各論を越える、未知の規則性などがみつかると、すごい。

ナカムラさん、
この記事のタイトルをずっと見ていなかった。restitution という言葉は、ぼくも早川さんの論文を見るまで知らなかった。たぶん、みんな知らないと思います。

Posted by たざき at 2004/12/21 (Tue) 12:02:23

早川改めラオウです。あんだけ悪いことをしても「我が生涯一片の悔いなし」と言う度量というか、図々しさは見習いたいものです。

田崎さん、おっしゃる通り自由度の制限はない証明になっていますね。だから強い結果となっている。また僕がコメントしたような場合は(中村さんがコメントされたように)低速すぎると重心速度そのものがふらふらする筈で、その揺らぎを絶ち、低速で衝突させるのはちょっと現実離れしています。

完全ハミルトン系で散逸をどう起こすかですが、欠陥もどきの質点を何個か導入しました。普通の質点は多数の格子バネで他の質点と繋がっていますが、欠陥もどきは一個だけの結合にしています。そうすると一旦その質点に吸収された運動エネルギーはほぼ確実に戻ってくることはありません。(これは予想通りで、数値的にも確認しています)。そうすると衝突は勿論、接触の場合でも平衡化させることができます。散逸はやはり行きはよいよい帰りは怖いプロセスによって起きるのが自然です。通りゃんせの原理ですな。

Posted by ラオウ at 2004/12/21 (Tue) 13:18:57

追加コメントをすると正月の新聞を賑わしたphotonic fractalsも通りゃんせで光吸収をする物質ですね。音波にはfractonという局在モードがあります。衝突物質にはある程度の強度が必要なのですがdislocationsがあると音波吸収はできるということに早くトライすべきでした。

Posted by ラ王 at 2004/12/21 (Tue) 13:50:08

わひゃら

まずは、ラオウ殿に私信。じつは、私の学生時代には、今ラオウさんのご近所にいる、あの大きなお方がラオウと呼ばれていたのです。勝手にラオウを襲名されると逆鱗に触れ、またしても京大に破壊がもたらされるかもしれないと、おそれます。

なるほど。欠陥をいれてやると、そこにエネルギーが行くのか。つまり平衡化はまだだけれど、弾性エネルギーは失われるというわけか。賢い。
ぼくも階段ポテンシャルを昇るときに並進エネルギーが内部エネルギーに移行するようなモデルは作れるつもりだったのですが、跳ね返り問題には手が出なかったのでした。

ときに phonic fractal ですが、ぼくは、あれはフラクタル性とは関係ないと結論したんですが、どうなんでしょう?

と、ここで延々と掲示板をやるのもまずいか。
(それと、コメント一覧を表示しないようになっているので、コメントがついても気づきにくいですね。)

Posted by たざき at 2004/12/22 (Wed) 01:23:47

えひゃい

しかし,なんでわれわれの世代は北斗ネタにここまでのるのか…。とりあえずこのページを:
http://www7.big.or.jp/~sosan/hokuto/danmatsu.html

田崎さん:
> と、ここで延々と掲示板をやるのもまずいか。

いや,別にどうつかっていただいても結構です。できれば,数式なんか書けるようにしたいですね。でも下の方のコメントまでは読む人少ないかも。

今のナカムラの疑問としては,比較的小数自由度の系に対してLiouvilleの定理を使う正当性はなにか,というのがあります。

> (それと、コメント一覧を表示しないようになっているので、コメントがついても気づきにくいですね。)

これは多分,管理者に対する暗黙の要求であろうと理解して,右上に最近コメントのあった記事の一覧をリンクしました。拾って来たプラグインがイマイチなので,ちょっと使いにくい。できれば近日中に改善します。

Posted by 中村 at 2004/12/22 (Wed) 13:25:44

あ、すんません(と普通のタイトルだ)

Liouville の定理は純粋に力学の話だから、自由度とは関係ないと思うのですが?

ところで、
http://150.55.136.37/dailylog.htm
の今日(22日)のエントリーで、「トキは誰だ?」との疑問が提出されています。不満がでないように役を割り振るのは至難ではないですなあ。わしゃ知らんど。ナカムラさんが始めたことだから。
あ、でも、主役の座は絶対にわたさなくってよ、おーほほほほほ。

Posted by たざき at 2004/12/22 (Wed) 16:33:17

しまった

至難ではないですなあ

至難ですなあ

Posted by たざき at 2004/12/22 (Wed) 16:34:20

あ、忘れてた

キリ番 9000 ゲットしました。
なんか記念品とかありますか?

と、遊んでいないで仕事しよ。

Posted by たざき at 2004/12/22 (Wed) 16:35:25

諸々

あのお方は大豪院邪鬼と呼ばれているのかと思っていました。物性の名簿で見た気がします。ケンシロウさんには新しすぎるのかもしれません。

Photonic fractalsにフラクタル性は関係ないというのは実験をやっている当事者の意見でもあるそうです。ともかく光がフォノンを励起して局在させればよいのではないでしょうか。

Liouvilleの定理はとりあえず古典系では使えると思います。我々の系はまさに中自由度の力学系です。

Posted by 結局だれにすればいいのか?カイオウか。 at 2004/12/23 (Thu) 08:46:18

俺の名前を言ってみろ!

田崎氏:
> じつは,私の学生時代には,今ラオウさんのご近所にいる,あの大きなお方がラオウと呼ばれていたのです。
早川氏:
> あのお方は大豪院邪鬼と呼ばれているのかと思っていました

なんか,京都にはすごいお方がいらっしゃるようですね…。


田崎氏:
> Liouville の定理は純粋に力学の話だから,自由度とは関係ないと思うのですが?
早川氏:
> Liouvilleの定理はとりあえず古典系では使えると思います。

げっ。でも,初期状態に確率分布をわりあてる根拠が少数自由度だとよくわからないのですが。たとえば粒子が3個しかないと,初期分布は6次元空間内のデルタ関数(あるいはそれがガウシャンみたいなもんでぼけてる)になって,統計力学的分布とは違うものになりませんか?


田崎氏:
> 「トキは誰だ?」との疑問が提出されています。不満がでないように役を割り振るのは至難ではないですなあ。わしゃ知らんど。ナカムラさんが始めたことだから。

うっ。自己申告にするとか。今後,これを読んだ統計物理学者は学会発表のときに「南斗白鷺拳のシュウこと**大学の××です。」と自己紹介すること。ちなみにナカムラは統計物理学者ではないが,男爵ディーノがいいなあ。


田崎氏:
> なんか記念品とかありますか?

キリ番をゲットした方にはもれなくシャンピニオン・スペチアーレの15年ものを…というわけにはいきません(このネタわかるひと,少ないだろうなあ)。田崎さんにはそのうちビールでもおごりましょう。それにしても,12月1日にオープンしてからもう9000もアクセスがあるのですね。みんな暇じゃのうありがたいことです。

Posted by 中村 at 2004/12/23 (Thu) 14:53:48

あ、もう 10000 こしてる

ナカムラさんが気にされているのは、Liouville が使えるかではなく、初期条件をカノニカル分布でサンプルしていいか、ということですね。これは、もちろん、きわめて難しい問題です。普通の考えは、「ボール」が熱浴と平衡に達していればいいということです。

Posted by たざき at 2004/12/23 (Thu) 19:06:16

何か噂されてる。しかし、大豪院邪鬼を名乗ったことはないと思うが、、、(じゃあラオウはあるのかと聞かれそうだから答えておこう。「ある!」)今名乗るならディオがいいかな。

ナカムラさん、初めまして。お会いしたことはありませんが、実は(当時編集長だった早川さんからの依頼で)「物性研究」の原稿のことでお相手をしたことがあります。

田崎さんの証明は対称性の使い方が絶妙でマジックを見てるみたいですね。式はフォローできるけど、どこに種があったのかまだよくわかってません。

ところで、全然関係ないけど、アイルランドは今や世界でいちばん住みやすい国だと言われているようです。

Posted by あの大きなお方 at 2004/12/24 (Fri) 11:18:36

さっきのはタイトルを入れ忘れてたな。

せっかくだから一つ田崎さんに質問しておきます。\Gamma''' を p' と \gamma'' の関数と見なすとき、t_f を通して弱く \Gamma にも依存するように思うのですが、こういうのは悪さしないんでしょうか?

Posted by ディオ(暫定) at 2004/12/24 (Fri) 16:43:48

新たな拳の使い手が!

物性研究では拙い原稿にいろいろ御教示いただいて,ありがとうございました。おそれおおくも拳王に相手をしてもらっていたとは知らなんだ。

田崎さん:
マクロなボールのような自由度の多い系でカノニカル分布になるのは理解できる(というか,それが標準的な考えであるのはわかる)のですが,自由度がそれほど多くない場合にはどうなのでしょう? 早川さんが指摘した,「跳ね返り係数が有意な確率で1を越える場合」というのは,自由度が十分に大きいわけではない効果だと思うのですが,もし,カノニカル分布を使うのに「自由度が十分に大きい」というのを前提としているとすれば,微妙な議論になってくる気がします。もちろん,田崎証明はそういうのは相手にしていないのでしょうが。

Posted by 中村 at 2004/12/24 (Fri) 16:44:04

津波はこわいですね

ディオ(暫定)さま、
ディオ? 知らんなあ。コマクさまの部下か?
ではなくて、t_f は Gamma にいっさい依存しないようにとっています。十分に遅い時間をとれば、どんな初期値だろうと、もう反射がおわっているようにできる、というのが仮定です。反射が critical だったりトラップがあったりすると、この部分は崩れます。
あ、しかし、この仮定は不要か。t_f など導入せず、最初から x=0 を再通過する際の速度を使って議論を進める方が直接的だ、と書きかけたけど、書きながら考えると、やっぱり t_f を固定するからこそ Liouville が使えるのだと気づいた。あの証明については、いくつも「改良点」をみつけるのですが、ことどとくダメです。どうやって思いついたんだろ?
あ、と話がそれましたが、これで答になっていますか?

ナカムラさま、
自由度が小さい系であっても、最初、熱浴と平衡にあるならば、カノニカル分布で初期値をサンプルするのは正しいことです。もちろん、低自由度なのでゆらぎが非常に大きくなりますが、幸いにも、定理では確率を評価しているので、そういう場合にもちゃんと意味のある結果がでています。
もちろん、低自由度の「粒子」というのが、たとえば清浄表面に吸着していた分子を電子でたたき出す、といった方法で準備されるのであれば、カノニカル分布は使えません。その場合のことは、また考え直す必要があります。
しかし、大らかに考えると、わりと普通に粒子を用意すると内部自由度は平衡に近いことが多いんじゃないでしょうか?

Posted by たざき at 2004/12/27 (Mon) 21:15:48

津波はこわいですね

ディオ(暫定)さま、
ディオ? 知らんなあ。コマクさまの部下か?
ではなくて、t_f は Gamma にいっさい依存しないようにとっています。十分に遅い時間をとれば、どんな初期値だろうと、もう反射がおわっているようにできる、というのが仮定です。反射が critical だったりトラップがあったりすると、この部分は崩れます。
あ、しかし、この仮定は不要か。t_f など導入せず、最初から x=0 を再通過する際の速度を使って議論を進める方が直接的だ、と書きかけたけど、書きながら考えると、やっぱり t_f を固定するからこそ Liouville が使えるのだと気づいた。あの証明については、いくつも「改良点」をみつけるのですが、ことどとくダメです。どうやって思いついたんだろ?
あ、と話がそれましたが、これで答になっていますか?

ナカムラさま、
自由度が小さい系であっても、最初、熱浴と平衡にあるならば、カノニカル分布で初期値をサンプルするのは正しいことです。もちろん、低自由度なのでゆらぎが非常に大きくなりますが、幸いにも、定理では確率を評価しているので、そういう場合にもちゃんと意味のある結果がでています。
もちろん、低自由度の「粒子」というのが、たとえば清浄表面に吸着していた分子を電子でたたき出す、といった方法で準備されるのであれば、カノニカル分布は使えません。その場合のことは、また考え直す必要があります。
しかし、大らかに考えると、わりと普通に粒子を用意すると内部自由度は平衡に近いことが多いんじゃないでしょうか?

Posted by たざき at 2004/12/27 (Mon) 21:17:49

Posted by ディオ() at 2004/12/28 (Tue) 11:04:06

まだわからない

あ、何か変なことしちゃった。編集中のが投稿されてしまった、すみません。ディオは「ジョジョ」という別の漫画に出てくるキャラです。僕の好きなタイプ。田崎さんがアメリカ行ってる頃かな?はやってたのは。

それはおいといて。えーと、まだ納得してません。初期値に無関係に t_f が選べるとは思えない。Gamma''' っていうのも与えられた t_f に対してギリギリの初期値ですよね。その向こうには t_f だけ時間がたってもポテンシャルから出てきていないような初期値が必ずある。だから、t_f を一つ固定すると、可能な Gamma に制限が付くと思うのですが。何か思い違いをしていますか?

Posted by ディオ(別の漫画) at 2004/12/28 (Tue) 11:21:05

今頃年賀状を書いてるのですが、ディオさまって書きそうになった

ああ、これ
http://homepage2.nifty.com/kajipon/jojo.htm
ですね。
流行ったのは、アメリカにいた頃か、その後、漫画を読まなくなった時期みたいですね。子供たちがジャンプを読むようになってぼくも読んでみた頃には、もう最後の方で、わけがわからない感覚のみを味わいました。

では、よいお年を。

と終わってはいけないのであって、t_f の件。
たしかに Gamma''' は「ぎりぎり」なのですが、それは初期位置がやたら左の方にあるからです。初期状態をサンプルする測度は Gamma''' の近辺では完璧にゼロになっているはずです。
ぼくが選んだ初期状態の測度では、位置は適当な有限な大きさの領域の中に必ずあり、初期速度も p_0 のまわりの有限の幅に収まっています。つまり、マクロな位置と速度を考えるかぎりは、「許されるいちばん左側から出発し、許されるいちばんゆっくりした速度をもつ」ような初期条件で入射させたとき、どれくらいの時間で跳ね返ってくるかをみればよいのです。もちろん、ここに内部自由度による影響がありますが、それは、衝突にかかる時間を限りなく引き延ばしたりするような性質を持たないことを暗に仮定しているわけです。

Posted by at 2004/12/28 (Tue) 12:35:43

あ、しまった

上のは私です。

Posted by たざき at 2004/12/28 (Tue) 12:36:17

誤解してました

昼ご飯の間に誤解に気がついて、田崎さんのレスポンスがつく前にと急いで帰ってきたのに、、、遅かった。分布は有限だったんだ。

Posted by ディオ at 2004/12/28 (Tue) 13:00:38

そうか

これ、名前のところでリターンを押すとポストされてしまうんですね。さっきのの後に「貧弱、貧弱ゥ」と書くつもりだったのだが、、、(結局書いてる)

田崎さん、納得しました。どうもありがとうございました。

Posted by ディオ at 2004/12/28 (Tue) 13:11:34

ちょっと見ない間に

さらにすすんでますね。

いま、旅先なので、2重投稿とかの訂正ができません。(めちゃ努力すればできるけど。) 帰ったら直します。でも、このままでもいいかって気もします。

Liouvilleの定理については、小数自由度だとゆらぎが大きくなって物理的な意味はイマイチでも、定理そのものは数学的に問題ないって理解しましたが、いいのかな。

Posted by at 2004/12/30 (Thu) 11:47:43

こぶ平

中村さんには当てはまらないかもしれませんが、こぶ平の夢はしがない大学教員が講演ツアーで講演が受けない際の八つ当たりのように受け止めました。

ところで自由度が小さくなると熱速度<<並進速度という条件が崩れます。(5)式がそのまま使えたとしてもはねかえり係数は1を越える訳ですが、もうそのあたりだと衝突という感じではないような気がします。

このスレッドが始まって(というより雑用が終わった昨日)もう一度読み直しているのですが、やはり判断の難しい論文だと思います。やはり個人的には壁がただのポテンシャルというのに引っかかりを感じます。同じ程度か、それより大きな自由度を持っているのだから、壁に吸収される自由度を考慮しないと片手落ちです。もしその効果ははねかえ係数を下げるだけだから結果に関係ないとするのであれば、その旨を書いた方がいいでしょう。でも正面衝突とは言え、そんなに単純に言い切れるのでしょうか。

もう一つは温度の問題です。実験から考えると接触問題では強い温度の局在が起こりますが、証明では初期温度しか現れません(仮定からρ_i(γ)が変わらない)。それはやはり物理的におかしいと思います。実際、Gerl & Zippeliusや我々の初期の論文は等温過程を仮定したのですが、それではいろいろと不十分な点が見つかっています。

Posted by カイオウ at 2004/12/30 (Thu) 17:43:05

こぶ平

ううむ。こぶ平について気のきいたことを何も思いつかん。

壁が純粋ポテンシャルというのは、たしかに、かっこわるい。ひとつの極限状況として、ボールの方はぶよんぶよんで、壁はこちこちでびくともせず、かつ、ボールと壁のあいだに熱のやりとりがない、ということを考えているわけですが・・

壁のミクロ自由度を扱うテクニックができれば、二つのボールの衝突とか、かなり一般の衝突ができるはずです。きわめて軟弱な上限(いろいろな量の上限に、V / dq というファクターがかかる。dq は初期分布の位置の範囲、V は最終的に粒子がいられる空間の全体積。V / dq はやたら大きいファクターだが、指数の肩に乗っているエネルギー差が大きくなると、全体は小さくできる(これだけじゃ、わからないですな))なら、そういう場合にも作れるのだが、ちょっとなあ。
まともな証明ができないか考えています。今年中は無理だろうけど。

温度の局在っていうのは、壁にあたってつぶれたところで温度が上がる、みたいなことでしょうか? ぼくの定理は、運動方程式を素直に解いた結果について成立するので、そういう現象も(おきる状況では)取り込まれているはずです。

では、今年も残すところ25時間ほどですが(って、めっちゃ月並み)、みなさまよいお年を。

Posted by たざき at 2004/12/30 (Thu) 23:15:25

なんで内部自由度は常にカノニカルか?

もっと単純な話です。"Finally we assume that the internal degree of freedom of the ball is in equilibrium"として計算の途中でもρ_i(γ)=ρ_i(γ''')としているけど、これは理解できないということです。γ'''がボールが壁から離れた時の内部自由度を表現しているから別のカノニカル分布になるのは(本当は離れた瞬間に一様状態に緩和せず、温度が不均一な状態になります)よしとしましょう。しかし壁との接触で熱化された後の内部状態だから初期と同じβで特徴づけられることはあり得ないと思います。

実際に離れた後に温度が全体として上昇するだけでなく、不均一になったまま緩和がなかなか起こらないのはボールをバットでひっぱたいた後にさわってみると分かります。 それとも何か勘違いしているのでしょうか?

Posted by 早川 at 2004/12/31 (Fri) 15:03:50

あ、いや、それは誤読

この Finally は、「そしてさいごに」という意味で、final state を

Posted by たざき at 2004/12/31 (Fri) 23:55:03

あ、いや、それは誤読を誘う書き方をしてしまった

この Finally は、「そしてさいごに」という意味で、final state を指すわけではありません。gamma''' も衝突前です。

Posted by たざき at 2004/12/31 (Fri) 23:56:26

NHK問題

いま,NHKの番組作成に政治家の圧力があったのか,という問題で大騒ぎだが,ニュースなどでその政治家を「阿部氏」と言っているのを聞くたびに「あべし!」と頭の中で考えているのは,ナカムラだけではないはずだっ。

ところで,明日から「つくば冬の学校2004」
http://www.px.tsukuba.ac.jp/home/tcm/arimitsu/symposium.htm
に行って来ます。会場でみかけたら声をかけてください。

Posted by 中村 at 2005/01/18 (Tue) 15:48:01
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