Jan 30, 2005

量子力学はやはり間違っていた!

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量子力学はニュートン力学の拡張であるので、 h 0 の極限でニュートン力学に一致しなければならない。しかし、これは相対論で v /c0 とするよりは話がややこしい。初等的な教科書では、エーレンフェストに従って Gaussian の波束をつくり、その中心が h 0 で古典力学に従うという手でこれを示すが、この手法だと時間が経つにしたがって波束がどんどん広がってしまうという欠点がある。そこで、波動関数 φ (x,t) の絶対値と位相から,古典力学に従う流体の密度と速度に対応する量を導くという方法がある。この方法はメシアの教科書の1巻181ページに書いてあるので,詳しくはそちらを見ていただくとして、概略を示すと波動関数 φ φ (x,t)=A(x,t)exp(i h S(r,t)) と書き,一つの複素数 φ のかわりに二つの実数 A ,S で表現する。ここで密度 n と速度 v n =A 2,v=1 m gradS と定義して,これをシュレディンガー方程式に入れて h 0 の極限をとると、 d n d t +div(nv)=0 [ d d t +(vgrad)]mv+gradV=0 が得られる。 V はポテンシャルである。これは古典流体の運動方程式と同じだから、このような粒子が多数集まった系は古典流体と同じに振る舞うであろう。つまり、シュレディンガー方程式の古典極限が得られたことになる。

なるほど、これでハッピー。しかしちょっと待てよ。速度場 v grad S から出しているが、これってやばくない? だってスカラー場の勾配から得られるベクトル場ってローテーションフリーだろう? ということは、シュレディンガー方程式から得られる古典流体の運動は渦無し運動ということになる。渦運動のような簡単な問題でさえちゃんと記述できない量子力学というのは矛盾だらけの理論であり,…(以下略)


ということで,なかには本気にする人もいるので,野暮は承知で書いておくと,…(以下略)。まあ、ひとつ前の記事と同じ状況なわけですが、前と違うのは今回はナカムラも正解を知らないということ。実はこれはかなり前から疑問に思っていた事なのです。

だから前回あった,コメントに関するふたつのタブーのうち、一つめは無し。つまり、正解がわかったらネタバレでもいいから教えてください。自分が正解を知っているかどうかで勝手にルールを変えるとは、なんて身勝手なやつだ、と思われるかたもいるでしょうが、ああ,なんて正しいんだ。まさにそのとおり身勝手です。すみません。二つ目のタブーはそのままですが,「相対論はまちがっている」に較べて量子論は「と」関係に人気がないようなので,あんまり気になりますまい。

Comments and Trackbacks

ナカムラがあやしいと思うのは

この議論は1粒子のときで,たとえ粒子間の相互作用がなくても,多粒子になるとそのままでは使えないというところです。でも,スレーターの行列式とかあんまり勉強してないし,よくワカラン…。

Posted by 中村 at 2005/01/29 (Sat) 18:14:48

まじめに書いてしまいますが

一粒子のシュレディンガー方程式から流体のふるまいをだすという議論は、ほとんど、トンデモの部類だと思う。くりこめ詐欺にもなってない。
流体っていうのは、無数の分子ががちがち衝突してとびまわっているのを遠くから眺めたとき自然に見えてくるものなので、導出だってその気でやらねば。で、実際問題としては、古典力学から Navier-Stokes を出すのだって(近似的にやるとしても)きわめて微妙な話。量子論になると、えええと。

Posted by たざき at 2005/01/30 (Sun) 10:55:35

波動関数でかける pure state だけじゃなくて、density matrixを考えれば rotation free にはならないですね。勝手な古典 interaction 無し流体をhbar→0で再現する density matrix があるかは…昔考えたときは出来たような気がしますが…

Posted by ななしさん at 2005/01/30 (Sun) 11:38:05

零点が…

流体力学との対応を考える時は、多粒子系を考えないと、
というのは、上で言われてる通りだと思うんですが、それ
以前に、このテの議論は波動関数の零点(A=0の所)
の取り扱いが問題だと思います。

よく、同様の議論から、Sがh→0の極限でハミルトン
ヤコビの方程式を満たすことを示し、これで量子力学
が古典力学に極限で移行することが示せた、っていう
ようなことを書いてある本がありますが、実はhの高次
項は振幅が0の所で特異になるので、例えhが小さく
ても無視できません。ナカムラさんが書かれている流体
の方程式も同様の問題があるのでは?(私自身は
導出をチェックしていないのですが。)

量子論のh→0の極限は、結構厄介です。

Posted by at 2005/01/31 (Mon) 01:38:15

ということは

1) ナカムラが書いたメシアにある計算は,古典極限を出すためのもので,流体方程式にならなくてもよい。だからローテーションフリーの場でも問題ない。流体方程式を出すのはもっと難しい問題。

2) 相互作用を考えなければ流体方程式はだせる。(たぶん,状態方程式はでてこないでしょうが)

3) でも,それ以外に h → 0 の極限は問題あり?

ということでしょうか?

1)を認めると,でも,古典流体に似た方程式を出せたからといって,古典極限の説明になるのか? という疑問が。(なるような気もする。)

実はナカムラはこの問題をなぜいきあたったかというと,ブラソフ方程式をハートレー近似みたいなものでシュレディンガー方程式から出せるか?と考えていた関連で,もし,2)のように相互作用無しの多粒子系が記述できるとすれば,ブラソフも可能なような気がしますね。

3)については指摘されてみると,たしかにその通りのような。もうちょっと考えてみます。

Posted by 中村 at 2005/02/01 (Tue) 19:49:31

メシアどこかたのむ

そんだけ。著作権はわし(?)。

Posted by たざき at 2005/02/02 (Wed) 15:55:58

著作権

そうです。もし「メシアたのむ男」が出版されたら,印税はたざきさんのもの。

Posted by 中村 at 2005/02/02 (Wed) 17:09:02

どちらかというと

くりこめ詐欺のほうがさりげなくて良いと思いました

電話口で泣きじゃくる若者の声に続いて、
何かを大至急繰り込めっていわれるんだよね

Posted by naka at 2005/02/13 (Sun) 22:54:44

特異性ですよね


一般にSは微分不可能な点を含む場合もあるはずで、rot grad S=0とは限らないです。ストークスの定理も
\int dl \nabla S = * 整数(量子化条件)になりますよね。 見当はずれでしたらすみません。Gross -Pitaevskiの論文ですか。

Posted by 井上@飯塚 at 2006/06/30 (Fri) 10:40:26

補足で失礼します。

v=-(h/m) \nabla S として、
Dv/Dt = - 1/ \rho \nabla P_{quantum}
-1/ \rho \nabla P_{normal} 
(P_{q}は\phi (\rho とS) からなるquantum pressure)
and
\int_{closed circle} dl v = h n /m, where n = integer (When S: at least C^{2} class, n=0
Otherwise n \neq 0 )

ですが, h → 0 だと、
Dv/Dt = -1/ \rho \nabla P_{normal}
and
\int_{closed circle} dl v =
real number,
(When S: at least C^{2} class, =0
Otherwise \neq 0 )
となると量子から古典になるように思いますが。

量子では、特異なSの時、渦度 \neq 0で、渦が
n=1から順に励起されていくように思います。古典ではcontinuousですが。

Posted by 飯塚@井上 at 2006/07/01 (Sat) 08:47:32
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