Dec 24, 2008

相対論的熱力学

「相対性理論は間違っていた」というのは,いわゆるトンデモ理論の定番で,ネット上を検索すると腐るほどページがヒットする。もちろん,ナカムラも書いている。そんな中で先日, 相対論に対してかなり説得力のある反例を見つけた。結局,このパラドックスは,「時間」だけではなく「かわいさ」もローレンツ変換すれば,相対性理論に反しないということで解決したようである。しかし,実はここで「ストーブの熱さ」の変換はどうなるか,という検討がなされていないので,議論としては不完全である。ちなみに,アインシュタインのもとの発言についてはここなど参照のこと。

……とかいう,あいかわらず脱力系の前置きはさておき,「熱さ」つまり温度のローレンツ変換って,どうなるか知ってるひと,います? たぶん,多くの物理学者および物理にくわしいみなさんは,「いや,すぐには答えられないけど,エネルギーの変換がわかっているのだから,ちょいちょいっと計算すればすぐにわかるはずじゃないのか」と思われるでしょう。

ところが,実は話はそう簡単ではない。1960年代に大論争があって,まだ決着がついてないと思っている人も多く,arXivなどを検索すると,いまだに「わしが解決したる!」という気合のはいった論文が出ているのです。「えっ? 相対論ができてから100年以上たつのに,温度のローレンツ変換みたいな基本的なこともわかってないの?」というあなた,詳しい経緯については,たとえばこの論文をご覧ください。ただし,この論文はリファレンスから歴史的経緯を知るにはいいが,ナカムラの考えでは,書いている内容はイマイチである。

では,イマイチじゃない論文はないのか,というと,もちろんあります。ナカムラが書いたやつです。なんじゃ,手前味噌で,自分の論文の宣伝か,と思われるかもしれないが,なんて正しいんだ。いや,そうなんだが,実はナカムラの論文で書いてある理論はナカムラが創出したものではなく,van Kampen(1967)とIsrael(1976)の考えた理論(詳しくは中村論文の参考文献リストを参照)を整理して計算しなおしただけである。

ナカムラが思うに,どう考えても相対論的熱力学はvan Kampen-Israel理論がファイナルアンサーで,他の理論もこれから演繹されるべきものなのだが,なぜか一般にはあまり受け入れられていない。それで,先に書いたように,まだこの問題には決着がついていない,俺が決着つけたる,という論文が次々と現れてくるわけだ。これがなぜかと考えるに,多分,相対論熱力学というのは,それを専門に研究している研究者がいなくて,他の専門の物理学者がちょっと興味をもって考えてみました,というノリで研究されている(ナカムラの論文もそのひとつだ)からではなかろうか。

もし,「国際相対論熱力学ワークショップ」なるものがあって,専門家が集まって情報交換をするようなことがあったら,ちょっと議論すればvan Kampen-Israel理論の優位性はあきらかなのに,そういう横の情報交換がほとんどないから,同じようなまちがいが何回も再生産されているのではないかと思う。こういうことって,他の学問分野にもありそうな感じですよね。

国際ワークショップをひらくには金がかかり,また,主催者側の人的負担も大きいが,ネットで情報交換するのなら,コストもほとんどかからないと思うのだが,だれか「Relativistic Thermodynamics BBS」みたいのつくらないかな。(←おまえがやれって?)

Comments and Trackbacks

そうなんですか・・・

中村先生
初めてコメします。
貴重な情報をありがとうございます。
その辺りは気になっていたのですが、
どうも雰囲気が怪しいので二の足を踏んでいました。
勉強してみる気が起きました。
ありがとうございます。

Posted by S1 at 2008/12/30 (Tue) 19:02:46

お返事遅れてすみません。

興味をもっていただいて,ありがとうございます。コメント,質問などあったら是非,メールをお願いします。tadas_at_fpu.ac.jpです。

Posted by 中村 at 2009/01/07 (Wed) 10:35:09

イマイチじゃない論文タイトル

ジャコパス好きとしては思わず反応せざるを得ませんです

Posted by 伝道師K at 2009/01/07 (Wed) 17:21:33
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