Apr 01, 2008

エイプリルフールかトンデモか?

エイプリルフールのネタかと思ったが「米国でLHCの運用禁止を求める訴訟、ブラックホール生成実験は安全性が確認されていない」という記事,日付をみるとちと早いので本当のことだろう。いや,「本当」というのは訴訟があったことで,ブラックホールが本当にできるか,あるいは,それが本当に危険なのか,というのは別問題。これについてはこんなページをみつけた。ナカムラは,ストレンジレットとかの素粒子ネタはパッパラパーなので,小一時間問い詰められてもよくわからんが,LHC程度のエネルギー現象は自然界には頻繁にあるだろうというのは知っている。だからできたブラックホールが地球を飲み込んでしまって,人類終了,なんてことは起きそうにないのはわかる。

しかし,ちょっと想像力をたくましくしてみると,遠い将来にビッグサイエンスの実験が思わぬ方向に走ってしまって人類滅亡,とかいうことは結構リアリティーがあるのではなかろうか? ものの本(どの本だったか忘れてしまった)によると,20世紀初頭の核物理学の黎明期には,世界の片隅の実験室で行われた核分裂の実験が連鎖反応を起こし,地球上の鉄より重いすべての原子核が崩壊してしまう,なんてまじめに心配した人もいるそうだ。実験室でできたブラックホールが世界を飲み込む,ていうのは,ひところ流行った人類滅亡危機系のSF映画のネタとしては,少なくとも「The Core」なんかより,ずっと本物っぽい。

スイス・フランス国境の実験施設で生まれたブラックホールが徐々に成長していって,もう西ヨーロッパの半分はのみこまれてしまった。このままではあと3か月で地球全体が事象の地平線の中に落ち込んでいってしまう。そこで立ち上がったアメリカの科学者達! ハリウッド映画にとって都合のいいことに,アメリカはヨーロッパの裏側だから,CGでヨーロッパ滅亡のシーンを派手に描く。アイガー北壁が崩壊し,エッフェル塔とビッグベンがブラックホールにのまれていくシーンの次に,ビビって驚き慌てるシンジュク・トーキョーのシーンもおまけで5秒くらいいれて,後半はタフでクールなアメリカンヒーローが地球を救う。(でも,どうやって救うんだろう? まだ,実験をはじめる前に裁判で差し止め判決を出して救う,とかいうんじゃあまりにショボくて映画にならないな。)

まあ,それはともかくとして,もと記事に「LHCによってミニ・ブラックホールが生成できたとしてもそのミニ・ブラックホールは、理論上はホーキング放射によって直ぐに消滅することなども予想されており」などと書いてある。ホーキング輻射については,ちょっと前にふれたが,実はごく少数ながら,この存在を疑う研究者もいる。たとえばLHCがらみのこのページの頭の三つの論文なんかがそれ。最近も「ブラックホール蒸発なんてうそっぱちじゃ〜」という論文がarXivに投稿されてる。あれ,これ著者に見覚えが……。 こいつ,プラズマ物理が本業で,ブラックホールなんてパッパラパーじゃないのかなあ。本気か? エイプリルフールネタか? トンデモか? いや,結構本気です。識者のご意見をお願いします。

Comments and Trackbacks

加速器で作ったブラックホールによって、この宇宙がお終いになるというSFは、かなり前に読んだことがあります。
たぶんSFマガジンで、日本人作家だったような気がするけど、アテにはなりませんし、ブラックホールじゃなく、閉じた空間の粒子とか言ってたかも知れません。
その話では、その粒子の内部が新しい膨張宇宙になるとか書いてました。

Posted by hirota at 2008/04/03 (Thu) 16:00:47
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