Aug 19, 2007
絶滅危惧種
先日,絶滅危惧種のビワツボカムリが生きていたというニュースがあったが,最近,ナカムラも金沢に絶滅危惧種の探査に行ってきたので報告する。どんな危惧種かというと,これがワシントン条約でも保護がうたわれている(ウソ)「ジャズ喫茶」というやつである。「名画座」とならんで風前の灯の1970年代文明のひとつで,いまは東京や大阪などの大都市のここに一軒,あちらに一軒と,細々と生息しているのが確認されているのみとなっている。それが金沢にもあるという情報を得て,所用で行ったついでに寄ってみた次第。
「え,ジャズカフェならよく行く店があるけどなあ。ライブもときどきやってるし,カクテルなんかあっておしゃれ♪」というお嬢さん,あなたは本物のジャズ喫茶を知らない(知っててもたいして嬉しくないが)。
ナカムラが行ったのは「York」という香林坊日銀裏の店。まず,「裏」というのにふさわしく,本当に細い路地に面していて,ビワツボカムリよりも発見困難なのがジャズ喫茶の正しいありかたその1。そして店に入ると
- 客がだれもいない狭い店の中に,大音量でジャズがかかっている。
- 店の内装はいまだに昭和が終わっていない。
- 天井にある落書きから任意にふたつをとりだすと,その間に少なくともひとつの落書きがある。(ように感じられるくらい落書きがある。)
- 「ジャズ批評」のバックナンバーが積んである。
- 「メニューください」という意味で「メニューあります?」と言うと当然のように「ありません」と答えられる。
- 「じゃなにか食べるものは?」ときくと「やきそばぐらいならできるんですが」。
- そして出てきたやきそばが量だけ多くて,くそまずい。
- そのあとに頼んだコーヒーがさらにまずい。
- 1時間ほど店にいる間に他の客がだれもはいってこない。

リクエストしましたか?
同じく絶滅危惧種の「名曲喫茶」(こちらは60年代か)ですと、かかっているレコードのジャケットをカウンターに立てておいたりするそうですが、ジャズ喫茶ではそういうことはないんですよね。かつて入り浸っていた私の友人が、ジャズ喫茶は店に入るなり、かかっているジャズの演奏者を当てられるか試される真剣勝負の場だ、と言っていたのを思い出しました。
今度行ったら
すでに絶滅してる予感。神保町の「響」が無くなったのは痛かったですね〜っていつの話じゃ
今時はCDなんですか?
あっこれは、新種か。
絶滅?
ジャズだろうがクラシックだろうが、喫茶というのがあるというだけで感動するんだが、、、、。tadas 氏も御存知のように、大抵の街では宿と食堂と喫茶を兼ねているのがデフォルトなんだよねえ。
>今度行ったら
はじめまして・・・
勇気を振り絞って・・・書き込みます
「響」
山鳥町にはまだあると思います
年式とかいろいろ (ry;
・・・失礼しましたー
竿竹屋がつぶれないのは
もともと経費がかかってないからとか、
時々お年寄り相手に悪い商売してるからとか、
理屈があるようですが、
まだつぶれてないジャズ喫茶がつぶれないのはなぜ?
1)実は土地は無償で経費がかかっていない
2)実は素人相手にジャズ喫茶教室をして儲けている
3)実は通販で売っている(何を?)
4)実は大学の先生の副業だ
5)実は公の金を投入して保護している
遅くなりましたが:
> ジャズ喫茶は店に入るなり、かかっているジャズの演奏者を当てられるか試される真剣勝負の場だ、
メインの演奏者をあてるのはまだ初級で,「このベースは1曲めがレージーワークマンだが,途中からジミーギャリソンに換っているところをみると,1953年の秋にニューヨークのベッケンスタインスタジオで録音されたときの未発表テイクに違いない。」などというところまで当てるのが本物らしいです。(当然ナカムラにはできません。)
>「響」が無くなったのは痛かったですね〜っ
「映画館」と「ナルシス」はまだありますよん。
> 今時はCDなんですか?
そう,それが唯一この店の純血性をうたがうところでしたね。
> ジャズだろうがクラシックだろうが、喫茶というのがあるというだけで感動するんだが、、、
「Hot Licks」なつかしいですね。
> 勇気を振り絞って・・・書き込みます
はじめまして。そんなに勇気を振り絞らずに,気楽に書いてください。山鳥町?
> 時々お年寄り相手に悪い商売してるからとか、
> 理屈があるようですが、
> まだつぶれてないジャズ喫茶がつぶれないのはなぜ?
ジャズおたくを相手に悪い商売(まずい飯など)をしてるからでしょう。
Mr,ナカムラ!歓迎くださり(1発語彙で済みそうなのですが;)ありがとうございます。ウイットの効いた記事が面白くて、ここへの訪問がクセになりました
山鳥町・・・
すいません、サントリーという町に(近くに山崎とか;)
「響」の14とかそんなのが・・・あの、ウィスキーの話d(ry;
Mr,ナカムラはウィスキーだめですか;Jazzにはウィスキーが必須かな、と・・・
感想
思い出した文章。
ところへ当分多忙で行かれないと云って、わざわざ年始状をよこした迷亭君が飄然(ひょうぜん)とやって来る。「何か新体詩でも作っているのかね。面白いのが出来たら見せたまえ」と云う。「うん、ちょっとうまい文章だと思ったから今翻訳して見ようと思ってね」と主人は重たそうに口を開く。「文章? 誰(だ)れの文章だい」「誰れのか分らんよ」「無名氏か、無名氏の作にも随分善いのがあるからなかなか馬鹿に出来ない。全体どこにあったのか」と問う。「第二読本」と主人は落ちつきはらって答える。「第二読本? 第二読本がどうしたんだ」「僕の翻訳している名文と云うのは第二読本の中(うち)にあると云う事さ」「冗談(じょうだん)じゃない。孔雀の舌の讐(かたき)を際(きわ)どいところで討とうと云う寸法なんだろう」「僕は君のような法螺吹(ほらふ)きとは違うさ」と口髯(くちひげ)を捻(ひね)る。泰然たるものだ。「昔(むか)しある人が山陽に、先生近頃名文はござらぬかといったら、山陽が馬子(まご)の書いた借金の催促状を示して近来の名文はまずこれでしょうと云ったという話があるから、君の審美眼も存外たしかかも知れん。どれ読んで見給え、僕が批評してやるから」と迷亭先生は審美眼の本家(ほんけ)のような事を云う。主人は禅坊主が大燈国師(だいとうこくし)の遺誡(ゆいかい)を読むような声を出して読み始める。「巨人(きょじん)、引力(いんりょく)」「何だいその巨人引力と云うのは」「巨人引力と云う題さ」「妙な題だな、僕には意味がわからんね」「引力と云う名を持っている巨人というつもりさ」「少し無理なつもりだが表題だからまず負けておくとしよう。それから早々(そうそう)本文を読むさ、君は声が善いからなかなか面白い」「雑(ま)ぜかえしてはいかんよ」と予(あらか)じめ念を押してまた読み始める。
ケートは窓から外面(そと)を眺(なが)める。小児(しょうに)が球(たま)を投げて遊んでいる。彼等は高く球を空中に擲(なげう)つ。球は上へ上へとのぼる。しばらくすると落ちて来る。彼等はまた球を高く擲つ。再び三度。擲つたびに球は落ちてくる。なぜ落ちるのか、なぜ上へ上へとのみのぼらぬかとケートが聞く。「巨人が地中に住む故に」と母が答える。「彼は巨人引力である。彼は強い。彼は万物を己(おの)れの方へと引く。彼は家屋を地上に引く。引かねば飛んでしまう。小児も飛んでしまう。葉が落ちるのを見たろう。あれは巨人引力が呼ぶのである。本を落す事があろう。巨人引力が来いというからである。球が空にあがる。巨人引力は呼ぶ。呼ぶと落ちてくる」
「それぎりかい」「むむ、甘(うま)いじゃないか」「いやこれは恐れ入った。飛んだところでトチメンボーの御返礼に預(あずか)った」「御返礼でもなんでもないさ、実際うまいから訳して見たのさ、君はそう思わんかね」と金縁の眼鏡の奥を見る。「どうも驚ろいたね。君にしてこの伎倆(ぎりょう)あらんとは、全く此度(こんど)という今度(こんど)は担(かつ)がれたよ、降参降参」と一人で承知して一人で喋舌(しゃべ)る。主人には一向(いっこう)通じない。「何も君を降参させる考えはないさ。ただ面白い文章だと思ったから訳して見たばかりさ」「いや実に面白い。そう来なくっちゃ本ものでない。凄(すご)いものだ。恐縮だ」「そんなに恐縮するには及ばん。僕も近頃は水彩画をやめたから、その代りに文章でもやろうと思ってね」「どうして遠近(えんきん)無差別(むさべつ)黒白(こくびゃく)平等(びょうどう)の水彩画の比じゃない。感服の至りだよ」「そうほめてくれると僕も乗り気になる」と主人はあくまでも疳違(かんちが)いをしている。
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