Apr 24, 2007

春休みの宿題

しばらくご無沙汰しておりました。なにをしていたかと言うと,春休みの宿題をしていたのである。といっても去年,冬休みの宿題としてやった「正準変換理論をつかわずにHamilton-Jacobi方程式を導く」みないなやつで,自分が自分に出した宿題。実は去年の秋休みの宿題だったのだが,いろいろと試行錯誤しているうちに今年の春休みにも間にあわなかった。でも「大型連休の宿題」というのは,ちと語呂がわるいので,今日あたりに見切り発車で提出してしまおう。小学校後半から高校まで,夏休みや冬休みの宿題を期日どおりにやったことは一度もなく,いつも遅れていたし。

で,お題はなにかというと「生成・消滅演算子を使わずにUnruh効果を導く」というもの。解説しておくとUnruh効果とは「真空と思って動いてみたら実は熱浴だった」という,よくわからん現象である(←全然解説になっとらん)。実は思う所あって,去年の後半あたりからこの勉強をしているのであるが,どうも,よくわからん。ということで教科書などにあるのと別の方法で同じ結果を導出してみたというもの。別の方法といいながら,たぶん,計算の本質は同じだと思う。

ということで,これが結果なのですが,この前のHamilton-Jacobiと違って,ナカムラは量子力学はイマイチ(学生のころに量子力学演習で不可をくらったような覚えが…)なので,あつかましくも前野さん(まだ読んでくれてるかな?)をはじめとする識者諸賢にお暇なときにでも見ていただきたいと思う次第である。どっか間違ってません? もし,考え方が間違ってないとすると,最後に得られたスペクトルは「加速運動によって生じる熱輻射」というものとはかなり違ったイメージのものになるような気がするのだが…。あと,Hawking輻射についても同じような計算ができそうな気もするのだが,ブラックホールの幾何についてはさらにパッパラパーなもので,よくわからんのです。

Comments and Trackbacks

読んでみました

 えらくコメント遅れてすまんこってす。この日記に気づいたのが一昨日で、その晩呑みにいっちゃってたもので。
 結論としては、あっていると思います。
 Bireell&Daviesの「Quantum Fields in Curved Space」では演算子を使ってはいますが、「左のRindler edgeでの負エネルギー解と右のRindler edgeでは正エネルギー解を組み合わせるとMinkowskiの正エネルギー解の線形結合になる」というロジックで、真空が異なることを説明してます。計算は細部は違えど中村さんの計算と同じように見えます。私の計算フォローは完全じゃないですが、たぶん。もうちょっとちゃんとフォローしてからコメントしようかと思ったんですが、そうするとずるずる遅れそうなんで、拙速でいきます(←このあたり中村さんと同じ手口)。

 んで気になるんですが、これで最初の「演算子を使わずに」という目標は達成されているんでしょうか?? 結局はボゴリューボフ変換の係数を計算していることになっているという意味では演算子的な計算のような。

 最近、Hamilton-Jacobiを使ってホーキング輻射を出すという話が出てましたので、既に御存じかともしれませんがお知らせしときます。

http://jp.arxiv.org/abs/hep-th/0611265
Hawking temperature from tunnelling formalism
Authors: P. Mitra

http://jp.arxiv.org/abs/0704.1746
Tunnelling from black holes in the Hamilton Jacobi approach
Authors: Bhramar Chatterjee, Amit Ghosh, P. Mitra

です。斜め読みなんですが、肝心のexp(-E/kT)を出すところでsingularityの処理の仕方に依存することをやっていないかというのがちょっと気になります。

Posted by いろもの物理学者 at 2007/04/30 (Mon) 14:08:54

お忙しい所

さっそくコメントありがとうございます。

>Bireell&Daviesの「Quantum Fields in Curved Space」では演算子を使ってはいますが、

実はこの本での計算を主として参考にしたので,実質的な内容は(中村が間違えてなければ)同じなはずです。ですから

>んで気になるんですが、これで最初の「演算子を使わずに」という目標は達成されているんでしょうか??

「演算子を使わずに」という意図はさらさらなくて,「生成・消滅演算子があからさまに出てこない」という程度の意味です。

気になるのは計算内容じゃなくて解釈の方です。いままで,場を量子化すると粒子数という概念が生まれて,その一個一個がしかるべきエネルギーや角運動量を持ってると思ってたのですが,もし,ここでの計算が正しいとすると,違う保存量を使うと同じ状態でも違う粒子数になったりするのでしょうか? そうだとするとUnruh効果というのは,「加速している系でみると真空から粒子があらわれてくる」というのではなくて,「エネルギーで定義した真空でも角運動量に対しては真空ではない」ということになると思うのですが…。

> 拙速でいきます(←このあたり中村さんと同じ手口)。

いや,今もういちど原稿を読んでみると拙速そのものですね,おはずかしい。もう少しデバッグしてから改訂版を出します。

> 最近、Hamilton-Jacobiを使ってホーキング輻射を出すという話が出てましたので、既に御存じかともしれませんがお知らせしときます。

もちろん,全然ご存知じゃないです。でも読んでみても理解できるかどうか(涙)。

Posted by 中村 at 2007/05/01 (Tue) 11:00:07
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