Dec 22, 2006

硫黄島

硫黄島からの手紙」を観てきた。少し前に前作の「父親たちの星条旗」(同じリンク参照)も観たのだが,感想としては前作の方が断然良かった。以前に本などで読んだことのある硫黄島の戦闘,とくに灼熱の穴蔵で水も食糧も尽きて殺されていくというシチュエーションが平板に描かれているのが原因かなあ,などと思ったのだが,良く考えてみると別の理由に思い当たった。

「父親たちの星条旗」アメリカ兵を,「硫黄島からの手紙」では日本兵を主人公にしているのだが,「父親たちの星条旗」では戦闘そのものではなくて,戦闘が終わったあとで偶像に祭りあげられ,人生が狂っていく兵士の話である。題材のヘビーさだと断然「硫黄島からの手紙」なのだが,ここで描かれている日本の狂気は,われわれは過去のもの,つまり歴史的事実として振り返ってみることができる。(完全にそうとは言いきれないところがあるが。)

それに対して「父親たちの星条旗」で描かれているアメリカの狂気は,実は,朝鮮戦争ベトナム戦争を経て,今現在もイラクやアフガンでの戦争に連綿とうけつがれているのではないか。イラク戦争で捕虜になった女性兵士がメディアの偶像にまつりあげられそうになった事件は記憶にあたらしい。これが「父親たちの星条旗」の方がリアリティを持って訴えてくるものがある理由なのではないだろうか。

「硫黄島からの手紙」に,アメリカ兵が捕虜にした日本兵を「連れていくのはめんどくさいから殺しちゃえ」とか言って打ち殺すシーンがある。これはひょっとしたら,今,あなたがこの文章を読んでいる瞬間にもイラクで起こっていることかもしれない。

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