Oct 24, 2006

E=mc2

昨年8月の記事に最近コメントをいただいた(2006/10/18日)。お返事をしなけりゃ,と思っているうちに例によって日がすぎてしまって,そうするうちにMelvyさんに親切に解答をしていただいて,感謝。

ところで,ナカムラはやはり「E=mc2 という式から原爆が導かれる」というのには違和感がある。アインシュタインがこの式を提示したときには,知られている力は重力と電磁気力だけで,それを開放してエネルギーを得る方法はもうはるか昔からわかっていたわけである。そのときに「質量とエネルギーは等価なんだぜ」といわれても,まとまった質量からエネルギーを取り出すメカニズムを空想するのは困難じゃなかろうか?

実際に原爆が現実味を帯びてきたのは,核力の存在が判明して,フェルミ(だっけ?)あたりが核分裂およびその連鎖反応をみつけてからで,そのときは「質量をエネルギーにかえてやろう」というのではなくて,もっと直接的に「核力のエネルギーをとりだそう」という発想の方が自然である。結果的に質量欠損はおきるわけだが,それが研究の原動力というかキーポイントになるというのは不自然だ。

もし,相対性理論の完成が30年ほど遅れて,フェルミやオッペンハイマーが E=mc2 を知らなくても,核力がきわめて強い力で,しかも,核分裂が連鎖反応で起きるというのさえわかっていれば,マンハッタン計画のおおすじは変わらなかったんじゃないかな(場の量子論に相対性理論は必要だが)。だからentranceさんの書く「当時の列強各国がこの公式に目をつけたのは当然のことでした」というあたりは,多分,正確じゃないと思いますがどうですか?

Comments and Trackbacks

「当時の列強各国がこの公式に目をつけたのは当然のことでした」
というのは、
「当時の列強各国の科学者(物理学者)が政府に働きかけて目に付くように誘導した(→有効な技術と認めさせた→研究費をせしめた)」
という意味でしょうか。
原理は分からなくても現象は利用できるので、マンハッタン計画の大筋は変わっていないでしょうが、予算的にはあんな巨額はかけられなかったかもしれませんね。(シコルシキーさんのヘリコが先に実用化したかも。)

Posted by ハリケーン at 2006/10/24 (Tue) 08:51:24

 今さっき、mixiの方で「E=mc^2のエネルギーは、化学反応のエネルギーとは違うもんだよね」と和気あいあいと話し合っている皆さんのところに、「ちゃうよ」という言葉を長い説明文でくるんで投下してきたばかりのいろもの物理学者でございます(^_^;)。ああこの誤解はどこまで根が深く(;_;)。

 それはさておき、私もナカムラさん同様、E=mc^2が(というか特殊相対論が)原子力エネルギー開発の牽引になったとは思えません。そもそも原子核から放射線が出ることが発見されたのは19世紀だし、アインシュタインが相対論を出す1905年の3年前には「放射性崩壊で原子が別種の原子に転換される」こともわかってました(アルファ線がヘリウムだとか、ベータ線が電子だとかも)。
 アインシュタインは相対論の論文の中で、「ラジウム使えばE=mc^2が確認できるかも」(この時点ではあくまで「かも」。実際に確認されたのはずっと後)と書いてます。つまりラジウムがすごいエネルギーを出しているという認識はアインシュタイン以前からあったわけです。つまり、あくまで「なんかすごいエネルギー出す、放射性物質ってのがある」という知識の方が先です。

 核分裂という現象の発見も、相対論がなかったらどうしてもできない、というたぐいのものではないので、30年相対論の発見が遅れたとしても(実際にはこの仮定には無理がありありですが)、核エネルギーは開発できるというナカムラさんの意見は正しいと思います。

Posted by いろもの物理学者 at 2006/10/25 (Wed) 20:00:07

アインシュタインと原爆

E=mc^2が原爆を生んだ、というのはどう見ても伝説、というより何かの勘違いとしか思えません。ただアインシュタインはルーズベルト大統領宛の原爆の開発をうながす手紙に署名した、という歴史的事実はありますから、そのあたりも絡んで生まれた話かも知れませんね。この手紙もアインシュタイン自身が書いたのではありませんが、自身が書いたというエピソードに化けてることもあるようです。詳しくは以下に。
http://homepage2.nifty.com/einstein/contents/relativity/contents/relativity145.html

Posted by diamonds8888x at 2006/11/03 (Fri) 18:11:31
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