Jan 09, 2006

冬休みの宿題

この3連休は日本海側でまた大雪だそうで,福井でも昨日の晩から結構降っている。もう,今週から仕事はじめの人も多いだろうが,ナカムラは大学勤務なので,この連休いっぱいは冬休み (実は学生さんは冬休みなのだが,教職員は4日から働いてはいます)。というわけで,みなさんの冬休みはいかがでしたか? 恥ずかしながらナカムラはスキーに行ったら持病の腰痛が再発して,2日ほど寝て暮らしてました。もう大体治ったからまたスキーに行ける。ヘロインのやりすぎで死にそうになって,病院で血液総とっかえとかのヘビーな治療をして,やっとましになって出て来たときに「あー,気分いい。これでまたヘロインがやれる」と言ったキースリチャーズの心境か (そんなたいしたもんじゃないが)。

考えてみると,ナカムラのような研究商売のひとで腰痛持ちって結構おおいですよね。職業病か。しかし,自慢じゃないがナカムラは20代のころから発病している腰痛エリートです(本当に自慢じゃないな)。学生時代に山登りで重いものもちすぎたのが原因かも。うちの業界のビッグボス,某K出教授の説によると,人間とダックスフントは生きているかぎり必ず腰痛になるそうで,腰痛にならないと思っている人は自覚症状がでる前に死ぬだけだそうな。しかし,それって「腰痛にならない」というのと等価だと思うけどなあ。それに,なぜダックスフントなんだ? シベリアンハスキーとかはならないんだろうか。

まあ,それはともかく,腰痛で寝ているあいだ,ナカムラは冬休みの宿題をやっていた。実はレフェリーレポートを書いたり,投稿論文の手直しをしたりと本当の宿題があったのだが,「明日できることは今日はしない」をモットーに刹那を生きるナカムラは,もっと趣味的に自分に課した宿題をやっていたのである。で,できました。このpdfファイルを御覧ください。内容は「正準変換理論をつかわずにHamilton-Jacobi方程式を導く」というもの。Hamilton-Jacobi方程式って,解析力学の教科書の最後のほうにのってて,たいがいそこに到達する以前に力尽きてしまうでしょ? (←そんなのはお前だけだ,なんて言わないで…) だから,教科書のはじめのほうに出て来るEuler-Lagrange方程式の知識だけでHamilton-Jacobiを理解できるようになるとハッピーではなかろうか,と思って計算をしてみたのである。実はこれはちょっと前から気になってて,多分こうすればできるだろうな,と思っていたのだが,腰痛で寝たりしないかぎりこういう計算はなかなかやらないでしょう。で,やってみたら意外と簡単で1ページ程度でできました。どっかまちがえてたら教えてください。

Comments and Trackbacks

人が本当の宿題の論文書きをしているところに

こんな楽しげなものを。
しかし、H-J eq なんて、一度か二度お姿を仰いだことがあるだけだが。
だいたいの筋は追った程度ですが、これだとやっぱり、p と q を混ぜこせにしてしまうような無茶な正準変換は扱えないのですよね? ま、そういうのは量子論には対応しないのだが。
ちなみに、1ページ目の右の11行目の「と t の関数」というのは「tau の関数」のタイポかと。

Posted by たざき at 2006/01/08 (Sun) 12:36:04

あ、先にやられちゃったか

という気分です。
 というのはこないだ、

http://homepage3.nifty.com/iromono/PhysTips/conserve.html

というのを書いて「ネーターの定理を図解する」というのに挑戦(成功しているかどうかは自分でも微妙)したんですが、その時「もうちょいがんばれはHamilton-Jacobiまで行けるな」と思ってたんです。

 解析力学のハミルトニアンまで理解せんうちに量子力学の勉強が始まってしまう、というのは私の場合もそうだったんだけど、今のたいていの学生さんもそうで、あそこを少々でも理解しとくと、量子力学で「運動量は-iエッチバー×x微分、エネルギーはiエッチバー×t微分」ときても「そういえば解析力学でも似たような話がありましたなぁ。。。」という感じになってくれんかと思ったりもしてます。

 しかし実際、今解析力学演習やっているけどHamilton-Jacobiどころかハミルトニアンそのものにもなかなか到達しません。。。。




Posted by いろもの物理学者 at 2006/01/08 (Sun) 20:22:18

ハミルトン形式

こんなところで真面目な話もなんですが・・
ハミルトン形式の山場は、座標も運動量もへったくれもなくなる一般の正準変換だと思うのですが、しかし、量子力学の準備と思うと、これはやりすぎになってしまっている。正準量子化をやるためには、一般の正準座標と正準運動量では広すぎて、駄目だから。
量子論の方が本質だとする立場からすれば、古典力学の正準変換の理論というのは、たまたま古典だからうまくいったものに過ぎず、物理の本質は外していたっていうことになります。実用性もあまりないわけだし、そういうものを教える意義があるのだろうか、というのが最近の悩みなのだ。

Posted by たざき at 2006/01/08 (Sun) 21:23:12

続編予告

たざきさん:
> これだとやっぱり、p と q を混ぜこせにしてしまうような無茶な正準変換は扱えないのですよね?

この計算はよい子のみんなが簡単にハミルトンヤコビを理解できるように,というのが目的です。だから,そういう変態マニア向けな変換は想定外です。

> ちなみに、1ページ目の右の11行目の「と t の関数」というのは「tau の関数」のタイポかと。

げげ,その通りです。なおしておきました。

ところで,手前みそながら,ここの導出の方が正準変換を使ったやつより量子力学との対応がいいのではないか,と思います。この導出では p (dq/dt) の項が時間がちょっとすすむことによって位置が変わるという効果からでてきてますが,経路積分でも似たような出所からこの項がでてきますよね。いろものさんのネーターネタとも関係してくるように思う。

実は経路積分を鞍点法かなんかで古典極限をとると,この導出と同じになるんじゃないかと思うのですが,どうかな?


いろものさん:
>というのを書いて「ネーターの定理を図解する」というのに挑戦(成功しているかどうかは自分でも微妙)したんですが、

これ,書かれたときに日記からたどって読んだのですが,今みてみるとそのときに思ったのより奥が深いですねえ。


実はナカムラの計算には続編があって,古典場の解析力学に拡張すると,自明でない面白い結果がでるような気がします。具体的にはTomonaga-Schwinger方程式の古典力学極限がでてくると読んでいるのですが,悲しいかな,Tomonaga-Schwingerをあんまり理解してないので…。(だいたい計算はできているのですが。)

Posted by 中村 at 2006/01/09 (Mon) 17:11:09

 量子力学ができる時、ド・ブロイ→シュレーディンガーの流れでは、ハミルトン・ヤコビのまねして、exp(iS)を波動関数と考えて(シュレーディンガーは逆にiS=klog(ψ)とか書いて、「ほらエントロピーみたい」とか言ってたらしいですが)作ったわけで、これからすると「exp(iS)をいろんな経路で足しあげる」という経路積分の方法は、初期のド・ブロイの考えに沿っていると言えると思います。だからナカムラさんの導出も

 一方、正準変換というのはSに母関数Gをくっつけることだから、量子力学の世界では波動関数にexp(iG)をかけるという変換になってて「それってつまりゲージ変換みたいなもんじゃん」となって、こっちはこっちで量子力学とうまくつながっているような感じもします。
 ところでp,qごたまぜの正準変換ってのは結局Gの選び方次第だと思うんですが、うーんどうなのかな。

>実はナカムラの計算には続編があって,古典場の解析力学
>に拡張すると,自明でない面白い結果がでるような気がしま
>す。具体的にはTomonaga-Schwinger方程式の古典力
>学極限がでてくると読んでいるのですが,

 これは面白そう。Tomonaga-Schwingerが出てくるとすると、各点各点に時間があるみたいな話になるので、dS/dtにあたる部分が「空間的曲面の局所的変形」に置き換わるんでしょうね。確かになんかうまく書けそう。

 弦の場の理論に応用できんかな(^_^;)。


Posted by いろもの物理学者 at 2006/01/09 (Mon) 21:19:31

嘘を申しておりました。

またまたウソツキナカムラと言われそうですが,前回「だいたい計算はできているのですが」と書いたのは,その後の計算でウソと判明しました。ハミルトニアン密度ではなく,ハミルトニアンそのもので計算するにはもうちょっと考えないと…。Tomonaga-Schwingerとの対応ですが,これは実はナカムラの思い付きではなく,hep-th/0310246にがネタ元です。(ナカムラは量子力学の部分はよくわかっていない。)

ところで,いろものさんのネーターネタを古典場に適用すると,ゲージ不変から電荷保存がでてくるのがわかりますね。ちょっと感動。

Posted by 中村 at 2006/01/12 (Thu) 12:23:09

初期値へ変換する正準変換とみると

突然失礼します。今正準変換の勉強をしているので気になってコメントしてみました。

このSというのはqとq0の関数なので正準変換の母関数とみるとq(t),p(t)のハミルトン系からq0(t)=q(0),p0(t)=p(0), (q0_dot=0, p0_dot=0をみたす)のハミルトン系への正準変換ということですよね?
ということはこのSをqで偏微分したらp(t)がでてきてq0で偏微分したらp0=p(0)がでてくるってことですが、それは正準変換の理論を使わないでもでてきますか??

Posted by mai at 2008/06/06 (Fri) 14:16:10

初期値へ変換する正準変換とみると

突然失礼します。今正準変換の勉強をしているので気になってコメントしてみました。

このSというのはqとq0の関数なので正準変換の母関数とみるとq(t),p(t)のハミルトン系からq0(t)=q(0),p0(t)=p(0), (q0_dot=0, p0_dot=0をみたす)のハミルトン系への正準変換ということですよね?
ということはこのSをqで偏微分したらp(t)がでてきてq0で偏微分したらp0=p(0)がでてくるってことですが、それは正準変換の理論を使わないでもでてきますか??

Posted by mai at 2008/06/06 (Fri) 15:17:55
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